「経営自走化」とは、社長がオフィスや現場にいなくても、売上や利益が生み出され、会社が円滑に回る状態を指します。この状態を実現するために、社員への仕事の委任が大切なポイントとなります。
社員に仕事を委任するための3つの責任レベル
あなたが仕事を委任したい社員はどんな社員でしょうか?
年次や役職ではなく、本人の意識レベルで考えてみましょう。
- 実行責任レベル
依頼した内容をそのまま実行することができる社員が求められます。 - 結果責任レベル
単に依頼内容を実行するだけでなく、期待される成果にまでこだわってくれる社員がいれば、さらに心強いでしょう。 - 当事者意識レベル
自分がその案件の責任者であると考え、期待を超える成果を出せる社員がいれば、最高です。
最低でも実行責任レベルにある社員に仕事を任せたいですよね?そして結果責任レベルの社員がいたら、すぐにでも仕事を委任したいと思うでしょう。
さらに欲をいえば、当事者意識レベルで動いてくれる社員がいたら最高ですよね。
当事者意識の限界と立場の影響
さてあなたの部下に「当事者意識レベル」で動いてくれる社員がいたとして、その姿勢が永続的に続くでしょうか?実際、全ての環境で当事者意識を持ち続けるのは難しいものです。
最近、興味深い事例がありました。ある経営者団体に所属している経営者が、団体内で役割を割り振られた際に次のようにクレームを言いました:
「私は詳細を聞いていないので、こんなあいまいな状態では動けない」。
この経営者は、自社では間違いなく当事者意識を持って動いているはずです。詳細が分からなければ自ら調べ、仮説を立てて行動するでしょう。しかし、リーダーからメンバーの立場になった途端、実行責任にも至らない状態になったのです。
また、60代の先輩経営者によると、会社の代表者が別の会社で役職者以外のポジションに就いた場合でも、似た現象が起きることがあるそうです。このように、「立場が人をつくる」という現象は、ポジティブな方向だけでなく、逆方向にも作用することがあります。
そもそも、一人の人間があらゆる環境で当事者意識を持ち続けることは非常に困難です。
例えば、会社の代表として当事者意識を持っている人でも、家庭では実行責任レベルも果たせないことがよくあります。すべての事象において当事者意識を発揮してしまうと、脳がオーバーヒートしてしまうかもしれません。
解決策:職務分掌規程の活用
こうした課題を解決するためのテクニカルな方法として「職務分掌規程」の導入が有効です。職務分掌規程とは、各社員の役割や評価基準を明確に文書化したものです。
これがあることで、社員が「結果責任レベル」に到達しやすくなります。結果責任レベルで動く社員が増えれば、十分に強い組織と言えるでしょう。
「結果責任レベル」では満足せず、「当事者意識レベル」の社員を増やしたいとお考えの経営者もいるでしょう。
その場合は、役割や責任を明確にするだけでなく、社員の成長を促す仕組みや環境を整えること、さらには経営者自身のあり方をアップデートする必要があります。
当社では、そのような欲張りな経営者のための支援を行っていますので、ぜひご相談ください!