アサインすべき経営企画に向いている人材とは?必要資格やスキルを経験者の目線から解説

経営企画部を会社に設置する際には、向いている人材をアサインしなければなりません。しかし経営企画部を初めて設置する場合には「どのような人をアサインすべきか?」と悩んでしまうでしょう。

そこで本記事では、経営企画部に向いている人材について解説します。

実際にいくつもの会社の経営企画部に携わってきている弊社だからわかる本当に必要な資格やスキルのみをお伝えします。

経営企画に本当に必要なスキルとは?

インターネットで「経営企画 スキル」と検索すると以下のような情報がヒットします。

  • プレゼンテーション能力が高い
  • 財務会計の知識がある

上記のスキルも必要ですが、本当に必要なスキルは「コミュニケーションスキル・質問力」です。

「なぜ2つのスキルが必要になるのか」また「プレゼンテーション能力や財務会計知識は必要ではないのか?」について以下で解説します。

-最も重要なのはコミュニケーションスキル

経営企画にアサインすべき人材は、分析力などの能力に目がいきやすいですが、その前に重要なのがコミュニケーションスキルです。

経営企画の仕事は多くの部署を巻き込むので、コミュニケーションが上手にとれないと、物事がスムーズに進みません。

弊社の過去の経験でも従業員から「それやらなきゃいけないんですか?」「そんなことやってられんわい!」といったような、ネガティブな意見をぶつけられたことがあります。

経営企画が関わるのは、その会社にとって新しい取り組みがほとんど。新しい取り組みを行うと、必ず対立意見が出てくるので、コミュニケーションとネゴシエーションのスキルが必要になるのです。

-社長への質問力が求められる

経営企画は社長の考えを掘り下げていかなければいけません。

社長が達成したい目的には、もっと良い別の手段があるかもしれません。

たとえば社長が「ホームページを作ろう!」と考えたとします。しかし目的によってはホームページである必要はないかもしれません。

ですから「ホームページで何を達成したいですか?」と目的を確認する必要があるのです。

目的によってはSNSが適しているかもしれませんし、MEO対策が適しているかもしれません。

「なぜやるのか?」に対して適切な手段を探していくのも経営企画の仕事の一つです。

-プレゼンテーション能力は、あるにこしたことはない

プレゼンテーション能力は必須ではありません。

経営企画スタッフが色々な部署に施策を説明をする際に、人々を巻き込むプレゼンや、分かりやすく伝えるプレゼンが必要になるケースもあります。

しかしこういったプレゼンは社長や経営層が行うことも多いので、必須のスキルとは言えません。

-財務会計の知識はある程度必要

財務会計の知識は、ある程度はあった方が良いです。

「ある程度」としたのは、例えば財務のエキスパートのようなレベルまで、特化する必要がないからです。

経営計画のP/Lシミュレーションを作れたり、経理部や外部の専門家(税理士、会計士など)と、コミュニケーションがとれる位の知識があれば問題ありません。

上場準備期間における資本政策など、ハイレベルな内容に関わることを求められる場合は、財務のエキスパートのようなスキルが必要になる可能性もありますが、そこまでの内容でなければある程度で構いません。

経営企画に役立つ資格は2つ|取得する必要はない

経営企画に役立つ資格は以下の2つです。

  • MBA
  • 中小企業診断士

この2つは資格取得することが重要というよりも、学ぶこと自体に意味がある資格です。

特に中小企業の経営企画の場合は、経営に関する広く浅い知識が求められますので、それを学ぶのに最適な資格というイメージです。

経営企画に向いている人と向いていない人

経営企画に向いているかどうかは、スキルや資格だけでは語り切れません。

多くの部署や人と関わるので、バランス感覚やコミュニケーションスキルが求められます。であれば本当に向いている人と向いていない人はどのような人なのでしょうか。

性格的な面からそれぞれを解説します。

-経営企画に向いているのはポジティブな人

経営企画はポジティブに気持ちを切り替えられる人が向いています。言い換えるとほどほどのストレス耐性がある人です。

経営企画は他部署との折衝も多く、社長には面と向かって言えないことを、経営企画スタッフにぶつけてくるケースも多いです。

一つひとつの意見や言葉を引きずってしまうと、なかなかしんどいので、ポジティブな性格の持ち主か、自分のストレス発散方法をもっている人が向いています。

-判断力のない人が向いていないのは間違い

「経営企画 向いていない人」と検索すると「判断力のない人が向いていない」という情報もありますが、判断能力に長けていれば良いわけではありません。

むしろ判断力がありすぎる人は向いていません。

なぜなら経営企画は参謀のような存在だからです。

社長は、自分が実現したいことを形にしてくれる人を経営企画に置きたいのであって、自分の判断だけで動く人を求めているわけではありません。

判断力という観点で言うならば

「その案であればこういうリスクがあります」

「その課題を解決するにはまずこっちの課題を解決する必要があります」

といった形の判断力が求められます。

経営企画はバランス感覚が最重要

経営企画にアサインする人材は「何に長けているから向いている」だけでの判断はできません。

スキル、資格、性格においてもバランス感覚が最も重要です。

しかしバランス感覚においては長く経営企画に携わっていなければ培えるものではないので、1から社員を育てるとなれば、経営企画部として機能するまでに時間を要してしまうでしょう。

経営企画経験者を中途採用するのも1つの手ですが、社長や会社に対するロイヤリティという面では、こちらも不安が残ります。

これらの点を考慮すると、スタート時点では経営企画を外部の人材に任せ、OJTのような形で社内の人材を育成していくのが、お勧めの方法といえます。

弊社は長く経営企画に携わってきているので、経営企画部の設立と、経営企画部が機能するまでのOJTサポートを行うことができます。

ぜひ経営企画部を作りたい、と考えているのであれば、一度弊社にご相談ください。

プロフィール

稲葉友輔

代表取締役/中小企業診断士

1978年、神奈川県横浜市に生まれ、中国とニュージーランドへの留学を経験し、2005年に外資系化粧品会社に入社。

外資系化粧品会社在籍時の2013年に中小企業診断士資格を取得したことがきっかけで、企画部に異動。
その後、外資系企業2社、国内上場企業1社で、合計9年間企画業務に携わる。
2022年1月に独立し、2023年8月に株式会社ASSEMBLEを設立。

現在は、経営企画部時代の、経営計画やプロジェクト推進にまつわる様々な経験を活かし、経営計画の策定からアクションプランの推進サポートまでをカバーするハンズオン支援と、経営計画を自分でつくるためのオンラインスクールを提供している。

主なクライアントは卸売業、OEM化粧品メーカー、飲食業、太陽光発電業、イベント業、IT業、不動産業、商工会議所など、幅広い業種をサポートしており、中小企業診断士協会での講演も多数行っている。