経営企画の本当の役割とは?経営企画の理想と現実

経営企画は社長の参謀・右腕として意思決定をサポートする重要な立場です。しかし具体的にどのような仕事をしているのかが分かりづらいのも、経営企画の特長です。

今回の記事では、実際の経験を基に経営企画が会社にとってどのような役割であるかを解説します。

経営企画の役割は経営層の考えを形にすること

経営企画は経営層にとってのサポート役です。

良く言えば参謀、悪く言えば便利屋さんです。

「かゆいところに手が届く」便利な存在ではあるものの、必須の存在かと言えば決してそうではありません。

なぜ経営企画が悪く言うと「便利屋」なのかを理解していただくために、弊社の経験から具体的な経営企画の働き方の例を解説します。

-経営企画の役割は困ったときの頼りどころ

弊社が経営企画の役割を「便利屋」と考えているのは、業務内容が多岐にわたるためです。

経営企画は一つの業務をおこなう部署ではありません。

規模が大きい会社であれば、経営企画部の中で役割が分担でき、特定領域に専念することもありますが、中小規模の会社の経営企画はそうもいかないのが現状です。

例えば経営企画が「広報」をおこなうケースも考えられます(というよりも実体験としてありました)。

「経営企画部なのに広報をやるの?」

と疑問に思うかと思いますが、その企業に広報部がなかったらどうでしょうか。

また、「営業部の底上げをするために、ITツールを使ってスキルを見える化し、スキルアップ研修も実行しよう」というアイディアを経営層がもったとき、担当するのは営業部でしょうか、人事部でしょうか、それともIT部でしょうか?

このように「その会社に担当する部署がない仕事」「どこの部署の役割なのかが曖昧な仕事」が経営企画にまわってくることも多々あります。なぜなら誰かがやらないと施策が前に進まないからです。

まずは経営企画部が着手し、しかるべき部署に引き継げるように形を整えるのも経営企画の役割です。

-「目標達成のための戦略策定」は経営企画の理想

「経営企画 役割」とインターネットで検索すると「経営陣と企業の将来の方向性を定め、目標達成のための戦略を策定する」と解説されている内容も見受けられます。

考え方は間違っていません。

とある経営企画部スタッフを対象にしたアンケートで「経営企画に入ろうと思ったきっかけは?」という質問に対して、第一位はやはりこれでした。

しかし実態は細かいことをやらざるを得ない立場であり、必ずしも「経営陣と企業の将来の方向性を定め、目標達成のための戦略を策定する」役割に専任できるわけではないのです。

-経営企画は戦略を形にする役割

経営企画は「戦略を決定する」役割ではありません。

なぜなら、経営戦略を決定するのは社長や取締役だからです。

経営企画の役割は、戦略を固めていくサポートをし、最終化された戦略の方向性に対して、実現への道筋を整備していく役割です。

経営企画の仕事内容とは?

「経営企画は便利屋」を前提にしてしまうと、「果たして経営企画の仕事とは何なのか……」と悩んでしまう方もいるかと思います。

一般的には以下の3つが経営企画の仕事内容と言われます。

  • 経営管理
  • 新規事業企画
  • ガバナンス対応

上記が経営企画の仕事であることに間違いはありません。

しかし具体的に何をやるかは、会社のフェーズによって異なります。

以下で3つの仕事について弊社の考え方を解説します。

-経営管理は必須

経営管理は必須の仕事内容です。

「経営」企画ですから、管理までおこないます。

具体的には、経営計画をまとめたり、行動計画を追っかけていく仕組みを作り、運用します。

これらを運用するのが経営企画の共通した業務と言えるでしょう。

-新規事業は会社のフェーズによって大きく異なる

新規事業については、会社の規模によって大きく左右される業務です。

一般的に新規事業とは「その会社が今までやってきていない新しい事業で売上を作る」というイメージかと思います。

しかし、経営企画には新規事業というよりも新規施策というレベルの業務もおりてきます。

たとえば、その会社に広報がなければ新規施策として広報業務を進めます。

ですから「経営企画=大きな新規事業に携われる」わけではありません。

-ガバナンスは会社の規模によって異なる

一重にガバナンス対応と言っても、おこなう業務はさまざまです。

人事部の代わりに就業規則を作ったり見直したりすることもあれば、決裁権限表を作るケースもあります。従業員の少ない会社であれば、決裁権限表を作る優先順位は低いかもしれません。

ただし上場準備に係わると、ガバナンスの仕組みを整備していく重要性は一気に増します。そしてそれは上場した後も、経営企画部の管掌範囲に残るケースもあります。

経営企画は必要なときにあれば良い

ここまで読んで「経営企画部を立ち上げる必要はあるのだろうか?」と考えた方もいるかと思いますが結論から言えば、すべての会社が経営企画部を立ち上げる必要はないです。

なぜなら会社の規模が小さいと、経営企画人材を採用しても、1人分の仕事量がなく、もったいないので色々な業務を任せて、結果辞められてしまう、なんて悲劇が起きかねません。

そして経営企画の人材はそこそこ人件費が高いので、このあたりは慎重に判断する必要があります。

しかし新たなステージに向かいたいので右腕的な存在がほしい、でも社内に任せられる人材がいない、そして採用するにはコストや仕事量の面でハードルが高い、という悩ましい状態にある企業が多いのも事実です。

そんなときに弊社のような外部に依頼してください。

最初は外注、そしてノウハウを社内の人材に提供していくことも可能です。

ぜひ社長の使い勝手の良い存在として、お気軽にご相談いただければと思います。

プロフィール

稲葉友輔

代表取締役/中小企業診断士

1978年、神奈川県横浜市に生まれ、中国とニュージーランドへの留学を経験し、2005年に外資系化粧品会社に入社。

外資系化粧品会社在籍時の2013年に中小企業診断士資格を取得したことがきっかけで、企画部に異動。
その後、外資系企業2社、国内上場企業1社で、合計9年間企画業務に携わる。
2022年1月に独立し、2023年8月に株式会社ASSEMBLEを設立。

現在は、経営企画部時代の、経営計画やプロジェクト推進にまつわる様々な経験を活かし、経営計画の策定からアクションプランの推進サポートまでをカバーするハンズオン支援と、経営計画を自分でつくるためのオンラインスクールを提供している。

主なクライアントは卸売業、OEM化粧品メーカー、飲食業、太陽光発電業、イベント業、IT業、不動産業、商工会議所など、幅広い業種をサポートしており、中小企業診断士協会での講演も多数行っている。