「経営企画を業務委託で依頼したい」と考えたときに、「業務委託ではどこまでの範囲をサポートしてくれるのだろう?」と疑問に思う方もいるかと思います。
そこで今回は、経営企画の業務委託範囲や注意点について解説します。
自社で経営企画の人材をアサインする際には、以下の記事も参考にしてください。
【アサインすべき経営企画に向いている人材とは?必要資格やスキルを経験者の目線から解説】
経営企画の業務委託に依頼できる範囲
結論からいうと、経営企画の業務委託の依頼範囲に明確な基準はありません。
一般的には「経営目標・経営戦略の企画立案・経営の運営サポート」をイメージされるかもしれませんが、これもあいまいな概念ですよね??
私の経験でも「中期計画書を一緒に作ってください」「このプロジェクト管理をしてください」「DX推進を手伝ってください」「戦略理解度を確認するために、従業員にインタビューしてください」など、戦略レベルの依頼から戦術レベルの依頼までまちまちでした。
だからこそ、事前に「どこからどこまでやるか?」のすり合わせが大切になります。
経営企画を業務委託する際の注意点
上記で解説したように、経営企画を業務委託する際にはすり合わせが大切です。
なぜなら経営企画の役割は幅広いからです。
そのため、具体的にどこからどこまでやるかを事前に決めたほうが、後々のトラブルを防止できます。
たとえば「上場するための内部統制の仕組みを作ってください」という依頼があったとします。
しかし、それだけでは具体的に何をすれば良いのかわかりません。
すべてを管理すべきなのか、一部分を管理すべきなのかが曖昧です。
場合によっては他の部署との連携も必要になるので、依頼の解像度を高めるに越したことはないです。
経営企画を業務委託する3つのケース
経営企画を業務委託するタイミングは、企業によってさまざまです。
一概に「こんなときは必ず依頼しましょう」とは言えません。
ただし「こんな状況であれば依頼した方が良い」といったおすすめのケースはあります。
以下で3つの状況を紹介するので、同じように悩まれている経営者は経営企画の業務委託を検討してみてください。
-従業員の自律性を高める
経営企画は、従業員の役割を明確化する方法として使えます。
とくに中小企業では、指示待ちの社員ばかりで社長が動かなければ業務が進まないといったケースがよくあります。
このような時に、経営企画が入り、業務分掌規程を作ったり、目標管理制度を作ったりと、従業員の役割を明確にすることで、自律性を高めることが可能です。
あなたの仕事はこの範囲で、目標はこれだから、この枠内で自由に動いてね、というイメージです。多くの人は、枠組みがあった方が自由に動けるので、従業員の役割を明確にすることで、自律性が高めることができます。
またこれまで曖昧になっていた役割が明確になるので、業務が円滑に進み、経営者の負担も軽減できます。
-自社の方向性を明確にする
自社の向かうべき方向性を言語化する際にも、経営企画は役立ちます。
従業員が増え始めた企業では、自社の方向性を言語化しなければいけません。
なぜなら、従業員が増えると、阿吽の呼吸で意思が通じる関係が成立しづらくなるからからです。
創業当初の数名規模であれば、従業員の名前も年齢もわかるほど近い位置にいたかもしれません。それこそ、経営者の一言で意思が伝わる距離感です。
しかし、従業員が増えると経営者の意思を一言で受け取れる人は少なくなります。
このような場合には、自社の方向性を言語化して明確にする必要があるのです。
ただ、これまで明文化していなかったものを言語化するのは想像以上に手間も時間もかかります。
このようなケースで、経営計画の作成を経営企画に依頼し、誰もが分かる形で会社の方向性を示すのは、会社の一体感を増し、かつPDCAサイクルを定着させることにつながるのでお勧めです。
-アクションプランの優先度を明確にする
勢いのある経営者の場合は、「あれもやろう!これもやろう!」と多くのアイデアを思いつくかと思います。しかし、これらをすべて実行しようとしてもうまくいきません。
なぜなら、複数の新規施策を従業員に指示しても、意識的にせよ無意識にせよ、従業員はそのうちのどれかに力をいれ、どれかに手を抜くからです。手を抜かれた施策が上手くいくわけはありません。
このような場合には、経営計画を作成して、今何を優先すべきかを明確にしていきます。
ですから「あれもやろう、これもやろう」で、結果的にすべてが中途半端になっているような場合には、経営企画に依頼すると良いでしょう。
経営企画を業務委託で依頼するメリットは人材育成と予算削減
経営企画を業務委託するメリットは、大きく2つです。
- 人材育成に役立つ
- 一人雇うよりも費用を抑えられる
なぜ上記のメリットが得られるのか、以下で解説します。
-業務委託で経営企画人材が育つ
経営企画は、業務委託からスタートするのが最良の手段といえます。
なぜならいきなり自社の従業員に「経営企画をしてほしい」と伝えても、業務の幅が広いために何をしたら良いかわからないからです。
であるならば、一度業務委託で経営企画を入れて、従業員にやり方を覚えてもらった方が良いです。
-一人雇うよりも費用を抑えられる
中小企業の場合であれば、経営企画のために一人の従業員を雇う必要はありません。
なぜなら、1人分の経営企画としての仕事が発生しないからです。
私の経験上、30名以下の企業では、経営企画としての1人分の仕事は発生しません。つまり、経営企画として従業員を雇っても仕事を振れず、人件費が無駄になってしまうのです。
そして手が空いているから、他の仕事も依頼しよう、となると、「こういう仕事がやりたいわけじゃないんだよね」と辞めれるリスクが高まります。
これらのことを考えると、最初はスポットで経営企画の機能を業務委託した方が良いです。
同時に従業員の育成にも繋がるので、一石二鳥になります。
経営企画は業務委託から始めましょう
自社に経営企画を導入するのであれば、いきなり採用するのではなく、業務委託から始めましょう。
業務委託であれば、必要な部分だけをスポットで依頼できます。
また、「経営企画を作ったけど何をして良いかわからない」という状況も防げます。
弊社では、これまでも多くの企業の経営企画を支援してきた実績がありますので、ぜひご相談ください。
プロフィール
稲葉友輔
代表取締役/中小企業診断士
1978年、神奈川県横浜市に生まれ、中国とニュージーランドへの留学を経験し、2005年に外資系化粧品会社に入社。
外資系化粧品会社在籍時の2013年に中小企業診断士資格を取得したことがきっかけで、企画部に異動。
その後、外資系企業2社、国内上場企業1社で、合計9年間企画業務に携わる。
2022年1月に独立し、2023年8月に株式会社ASSEMBLEを設立。
現在は、経営企画部時代の、経営計画やプロジェクト推進にまつわる様々な経験を活かし、経営計画の策定からアクションプランの推進サポートまでをカバーするハンズオン支援と、経営計画を自分でつくるためのオンラインスクールを提供している。
主なクライアントは卸売業、OEM化粧品メーカー、飲食業、太陽光発電業、イベント業、IT業、不動産業、商工会議所など、幅広い業種をサポートしており、中小企業診断士協会での講演も多数行っている。