経営企画の目標設定の例は?具体的な進め方は?

経営企画の重要な業務に、経営計画の策定があります。経営計画には様々な要素がありますが、簡単にいうと目標設定です。

しかし「目標設定」と聞いて、何となくは分かるけど、具体的にどういう風に行なえば良いか分からない、という方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、弊社の実際の経験から、目標設定の進め方について解説します。

目標設定は何をするのか?

経営企画における目標設定は、シンプルに言うと、社長の考えの具体化です。

社長がなんとなくイメージしているゴールを、1つ1つの要素について具体化していく作業です。

たとえば、社長から「5年で売上を2倍にしたい」といった案が出たとしましょう。

では、そのために「何をどうやっていくのか?」を考え、計画に落とし込んでいきます。

ここで大切になるのが理想論や夢物語だけにならないように、現実に落とし込むことです。

以下で、目標設定のステップについて、概要をまとめました。

-目標設定のステップ①目標の具体化

目標設定のステップ1では、目標を具体化していきます。

たとえば、社長が「海外進出したい」という目標をもっていたとしましょう。

この場合、例えば以下のように質問をして具体化させていきます。

  • どこに進出しますか?
  • 何年後に進出したいですか?
  • いきなり支店を作るのか、それとも業務提携が良いですかね?

上記のように、いつまでに何をするのかを明確にするのが第一ステップです。また社長に気持ちよく仕事をしてもらうためには、どのようなことを質問するかとともに、どのように質問をするのかも重要なのですが、コミュニケーションスキルの問題なので、ここでは省きます。

-目標設定のステップ②目標に対しての数字の明確化

目標設定のステップ2では、その目標をPL(損益計算書)に落とし込みます。

たとえば、「海外に支店を進出するとした場合であれば、その分の経費をプラスしても、今よりも利益が得られる体質にしないといけないな・・・」といったイメージで、シミュレーションを進めていきます。

実現するための数字を明確にするのが、第二ステップだと考えてください。

-目標設定のステップ③方法の具体化

目標設定のステップ3では、具体的な方法に落とし込んでいきます。

なぜなら、ステップ2までの段階で止まってしまうと、単なる夢物語に終わってしまうからです。

具体的には、以下のような順番で具体化していきます。

  1. 現状と比較して、どれぐらいの規模の売上が必要なのか?
  2. では売上を上げるためにどうすべきか?
  3. 広告を出すのか?営業を強くするのか?
  4. 現状の営業の現場での成約率はどの程度か?
  5. 現場での成約率が高いのであればどの方向で売上拡大を目指すのか?

もちろん売上だけでなく、経費についても検証を行い、一つひとつの課題を解決するための行動計画を策定していきます。

目標設定のフレームワーク「SMARTの法則」

目標設定のフレームワークとしてよく使われるのが「SMARTの法則」です。

SMARTの法則考え方の切り口における頭文字で、それぞれを意識して目標を考えていくことで解像度の高い目標設定ができます。

「S・M・A・R・T」それぞれの意味は以下のとおりです。

  • Specific…具体的
  • Measurable…計測可能
  • Achievable…達成可能
  • Relevant…関連性
  • Time-bound…期限

SMARTの法則の例をわかりやすくすると、以下のようになります。

  • 前提目標…「家族で海外旅行に行こう」
  • Specific(具体的)…「いつ行くの?海外のどこに行くの?」
  • Measurable(計測可能)…「家族の満足感はどれぐらいか?」
  • Achievable(達成可能)…「旅行の費用は足りるのか?家族全員休めるのか?」
  • Relevant(関連性)…「そもそも海外である必要はあるのか?」
  • Time-bound(期限)…「〇月までなら子どもが夏休みだから、その前までに飛行機や宿泊の予約をしなければならない」

いかがでしょうか?一見難しく思えるSMARTの法則ですが、上記のように考えると意外と簡単なので、ぜひ目標設定を立てる際の参考にしてください。

目標設定から達成に導くための計画立案

目標設定も大切ですが、次には達成するための具体的な行動計画を立てなければいけません。

このときよく用いられるのがマンダラチャートです。

マンダラチャートは目標達成のための思考を展開させるためのツールとしてよく使われます。

ただし、「計画立案のために必ずしもマンダラチャートが役にたつか?」と言われれば、一概にそうとは言えません。

人によって考えを整理する方法は異なりますので、これまでに行動計画作りに取り組んだことがない方は、試しにマンダラチャートを活用してみても良いかもしれません。

目標設定は落とし込み力と連携力が必要

経営企画で目標設定をおこなうのに、特別なスキルはそこまで必要ありません。

PLなどのある程度の数字がみれるのであれば、必要なのは目標を具体的に落とし込む力と他部署と連携する力です。

これらを円滑におこなうには経営企画としての経験も必要になりますので、ぜひ目標設定を策定する際は、弊社にご相談ください。

また、一人社長のための経営企画・目標設定のセミナーもありますので、ぜひそちらへの参加もお待ちしております。

ASSEMBLE主催セミナー

プロフィール

稲葉友輔

代表取締役/中小企業診断士

1978年、神奈川県横浜市に生まれ、中国とニュージーランドへの留学を経験し、2005年に外資系化粧品会社に入社。

外資系化粧品会社在籍時の2013年に中小企業診断士資格を取得したことがきっかけで、企画部に異動。
その後、外資系企業2社、国内上場企業1社で、合計9年間企画業務に携わる。
2022年1月に独立し、2023年8月に株式会社ASSEMBLEを設立。

現在は、経営企画部時代の、経営計画やプロジェクト推進にまつわる様々な経験を活かし、経営計画の策定からアクションプランの推進サポートまでをカバーするハンズオン支援と、経営計画を自分でつくるためのオンラインスクールを提供している。

主なクライアントは卸売業、OEM化粧品メーカー、飲食業、太陽光発電業、イベント業、IT業、不動産業、商工会議所など、幅広い業種をサポートしており、中小企業診断士協会での講演も多数行っている。