経営企画部をもつ企業のなかには、「経営企画部に新規事業を引っ張ってもらいたい」という願望を持っている企業もあるかもしれません。
たしかに経営企画部の役割は、経営目標の達成を推進することなので、新規事業を進めるケースもあるかと思います。
しかし、個人的な感覚ですが、新規事業の推進をリードすることよりも、サポートすることに適した部署だと思います。
そこで今回は、経営企画と新規事業の考え方について解説します。
新規事業の成功に必要なのは「エネルギー(熱量)」
新規事業は言うまでもなく、多くのエネルギー(熱量)を必要とします。現在の事業と共通点が少ない事業であるなら、なおさらです。
エネルギーを維持し、新規事業を推進していくためには、「この事業はきっと上手くいく」「この事業は社会にとって意味がある事業だ」といった確信、言い換えるならある種の「思い込み」が重要だったりします。
いっぽう経営企画部に配置される従業員はバランス型が多い印象があります。
バランス型は、外部と内部の環境を冷静に見て、最適な解を求めていくのが得意です。
さて新規事業は、あきらかに失敗するだろうという事業は分かっても、あきらかに上手くいく事業は分からないことが多いです。
このような状況で、周りがどんな感情的な意見を言ったとしても、自分の信じた新規事業を推し進めることは、バランス型の得意領域とは言えないかなと思います。
-新規事業における経営企画部の使い方
経営企画部の従業員は、中小企業診断士やMBA、もしくはそれに類する勉強をしている人が多いので、新規事業を推進していくプロセスは理解しています。
なので新規事業をリードするのは社長、もしくはその事業への確信が高い部門長、それをサポートするのが経営企画部、という役割分担がベストです。
サポートというと簡単に聞こえるかもしれませんが、新規事業のサポートは、環境分析を行う、新規事業の収益シミュレーションを作る、新規事業立ち上げに向けての道筋を整理する、といった直接的なものから、新規事業にリソースをさくための社内体制の再構築など間接的なものまであります。
実務的な部分は経営企画部が行い、最終的な意思決定や、社内調整の重要なポイントは社長もしくは部門長が行うのが良いでしょう。
経営企画機能がない会社の場合
ここまでは経営企画機能がある会社が新規事業を進める話をしましたが、それでは経営企画機能がない会社が新規事業を進めるにはどうすれば良いのか?
その答えは、経営企画機能を外部に求め、社長や部門長のサポートをしてもらうことです。
これまで新規事業もしくは新規施策の推進をしたことがない従業員に、このような役割を求めるのは荷が重すぎるので、本人にとっても会社全体にとってもリスクが大きいです。
もしも今後、経営企画機能を任せたいと考えている幹部候補の従業員がいるなら、社内のカウンターパートに配置し、外部の専門家の知見を吸収してもらい、今後に活かすのがおススメです。
当社ではこのような経営企画人材の育成も含めた、新規事業や新規施策の推進サポートを行っておりますので、ぜひ一度ご相談ください。
プロフィール
稲葉友輔
代表取締役/中小企業診断士
1978年、神奈川県横浜市に生まれ、中国とニュージーランドへの留学を経験し、2005年に外資系化粧品会社に入社。
外資系化粧品会社在籍時の2013年に中小企業診断士資格を取得したことがきっかけで、企画部に異動。
その後、外資系企業2社、国内上場企業1社で、合計9年間企画業務に携わる。
2022年1月に独立し、2023年8月に株式会社ASSEMBLEを設立。
現在は、経営企画部時代の、経営計画やプロジェクト推進にまつわる様々な経験を活かし、経営計画の策定からアクションプランの推進サポートまでをカバーするハンズオン支援と、経営計画を自分でつくるためのオンラインスクールを提供している。
主なクライアントは卸売業、OEM化粧品メーカー、飲食業、太陽光発電業、イベント業、IT業、不動産業、商工会議所など、幅広い業種をサポートしており、中小企業診断士協会での講演も多数行っている。