なぜ経営企画とマーケティングが比較されるのか?違いは?

世の中にある情報のなかには「経営企画」と「マーケティング」の違いや共通点に触れられているものもあります。

しかし、長く経営企画に携わってきた弊社からすると経営企画とマーケティングが同じ天秤にかけられて比較されることはとても不思議でなりません。

なぜなら、経営企画とマーケティングはまったくの別物だからです。

そこで今回は、経営企画とマーケティングの関係性について、弊社の観点から解説していきます。

経営企画とマーケティングを並べられる理由

経営企画とマーケティングが並べられる理由として、経営企画がマーケティングに係わることがあるからだと考えられます。

経営企画は広報やマーケティングなど、幅広い知識や業務が求められます。

実際に弊社でも過去に、経営企画ではありますが、広報やマーケティングに近い業務を担当したこともあります。

それは「マーケティングも経営企画の仕事の範疇」だからではなく、当時その企業にマーケティングをできる人がいなかったからに過ぎません。

ですから「経営企画=マーケティング」ではないのです。

しかし経営企画には幅広い知識が必要なので、マーケティングについてまったくわからないわけでもありません。

つまり、以下のようになります。

  • 「経営企画=マーケティングもできる」×
  • 「経営企画=マーケティングもわかる」〇

-経営企画もマーケティングも後から必要になる部署

経営企画とマーケティングが並べられる理由として、どちらも会社のなかで後から必要になる部署という類似点があります。

一般的には、営業・経理などの部署が優先的に作られてからマーケティングや経営企画が作られます。

この点から考えると、経営企画とマーケティングを比較するのは「どちらを先に作るべきか?」と悩んでいる需要もあるのかもしれません。

-経営企画もマーケティングも曖昧な部署である

経営企画とマーケティングの類似点として、どちらも線引きが曖昧な部署であるという点があります。

経営企画は便利屋とも言われるほどに業務内容が幅広いです。ですから、ときには財務的な役割を担うこともありますし、ときには広報やマーケティングをやることもあります。

マーケティングも同様で、マーケティングという言葉で思い浮かぶ業務内容を書き出したら、会社によってかなりのばらつきがあると思います。そして小さな会社ほど業務内容が多岐にわたるのも経営企画に似ています。

両者とも業務をおこなうなかで幅広い知識と業務が必要になるために、近い位置のものだと考えられているのかもしれません。

経営企画とマーケティングの大きな違い

経営企画とマーケティングは、ともに分析を伴う仕事ですが、大きな違いは分析するレイヤーです。

経営企画は経営陣とともに、会社の向かうべき方向を様々な角度から分析しないといけません。

対して、マーケティングは商品やサービスを魅力的に伝えるための分析がメインです。

この点で考えるのであれば、経営企画とマーケティングの業務内容は大きく異なります。

経営企画は社内の経営から戦略の立案・実行をしていくものであり、マーケティングは商品やサービスを販売するための戦略の立案・実行です。

経営企画とマーケティングの両方の知識は必要か?

マーケティングの人に経営企画の知識は必要ありません。しかし、経営企画にマーケティングの知識は必要です。

なぜなら先述したように経営企画には幅広い知識と業務が求められるからです。

たとえば、経営企画にマーケティング業務がまわってきて取引先などと話をしたときに「マーケティングについてはわからないので……」と話が成立しないようではダメです。細かい分析はできずとも、相手の土俵で会話できるレベルの知識は必要です。

また、経営者の意向によってマーケティングを外部に依頼する際、良い依頼先を選ぶためにもマーケティング知識が役に立ちます。

そのほかにも、マーケティングがわかるからこそ別の方法を試してみようという考え方もできます。

このように経営企画をおこなう上である程度の知識をもっていた方が、何かと進めやすくなりますから、経営企画にはマーケティングの知識が必要なのです。

とはいえ、特化したマーケティング知識が必要なわけではありません。

経営企画をおこなうならマーケティング知識もつけておきましょう

解説したように、経営企画にはマーケティングの知識もある程度は必要です。

特化した知識までは必要ありませんが、経営者がマーケティングを進めようとなったときにサポートできる程度の知識はあったほうが良いでしょう。

そしてマーケティングの知識は、経営計画を社内にどう落とし込んでいくかを考える際の、切り口になることがあります。つまり自社の社員を顧客と見立てて、施策に積極的に取り組んでもらうための伝え方を考えるイメージです。

ただし、反対にマーケティングを専門としている人が経営企画ができるかというとそうではないので注意してください。

弊社のこれまでの経験では、優秀なマーケターは天才肌のスペシャリストが多く、ゼネラリスト要素が強い経営企画の仕事を、やりがいをもって取り組めるかは微妙なところです。

マーケティングのみに留まらず、幅広い知識で経営者のイメージを具現化していきますのでぜひ経営企画が必要になった際にはご相談ください。

プロフィール

稲葉友輔

代表取締役/中小企業診断士

1978年、神奈川県横浜市に生まれ、中国とニュージーランドへの留学を経験し、2005年に外資系化粧品会社に入社。

外資系化粧品会社在籍時の2013年に中小企業診断士資格を取得したことがきっかけで、企画部に異動。
その後、外資系企業2社、国内上場企業1社で、合計9年間企画業務に携わる。
2022年1月に独立し、2023年8月に株式会社ASSEMBLEを設立。

現在は、経営企画部時代の、経営計画やプロジェクト推進にまつわる様々な経験を活かし、経営計画の策定からアクションプランの推進サポートまでをカバーするハンズオン支援と、経営計画を自分でつくるためのオンラインスクールを提供している。

主なクライアントは卸売業、OEM化粧品メーカー、飲食業、太陽光発電業、イベント業、IT業、不動産業、商工会議所など、幅広い業種をサポートしており、中小企業診断士協会での講演も多数行っている。