勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」は、東北楽天ゴールデンイーグルスなどで監督をつとめた、故野村克也さんによって有名になった言葉です。

勝ちは偶然や運に左右されることがあるが、負けは原因が明確に存在する、という意味で、元々は江戸時代の肥前藩の大名だった松浦静山の言葉とのこと。

松浦静山は、肥前藩が財政危機に陥った際に、行政の効率化や身分の枠を超えた人材登用をして藩を立て直した名経営者で、かつ剣の達人という・・・そのうち大河ドラマになりそう!

さて「勝ちに~」は、スポーツだけでなくビジネスや私生活にもそのまま当てはまるから、ここまで有名になったのだと思います。

ビジネスが失敗する原因は明確

ビジネスにおける失敗とは、ビジネスを継続させたいのに継続できなくなること、つまり倒産です。
倒産を引き起こす間接的な原因は無数にありますが、直接的な原因は「支払に必要な資金が不足すること」です。

特に悲しいのが黒字倒産ですね。
黒字倒産は、売上は計上されており、損益計算書上は利益が出ているのに、支払いに必要な資金が不足し、倒産してしまうケースを指します。

では倒産を防ぐためには何をすれば良いのかというと、「経営計画/事業計画の策定」「キャッシュフロー管理」「在庫管理の適正化」「金融機関との関係強化」など、やるべきことは意外とシンプル。

だから倒産した会社が、これらのことをやっていないと「ああ・・・やっぱりね・・・」と言われることになります。
まさに「負けに不思議の負けなし」ですね。

では「これらのことをしっかりとやっていたら、ビジネスは拡大するのか?」というとそれはまた別の話で、あくまで土台なのです。

内部環境と外部環境

ビジネスにおいて「これをやったら全てのビジネスが拡大する」という魔法のツールは存在しません。それは内部環境と会部環境が違うからですね。

会社の内部環境は「商品・サービス」「創業してからの年数」「従業員の特性と質」「財務状況」などを指します。
スタートアップ企業でうまくいった戦略を、歴史のある中小企業にもってきて失敗するのは、内部環境の違いを考慮していないからです。

会社の外部環境は「商品・サービスにおける競合」「仕入先とのパワーバランス」「法規制の変更」「ユーザーニーズの変化」など、自身ではコントロールができないことを指します。アメリカでうまくいった戦略が、日本でうまくいかないケースがあるのは、外部環境の違いを考慮していないからです。

スモールスタートでPDCAを速く回す

「これをやらないと失敗する」というノウハウはあっても、「これをやったら成功する」というノウハウがないなら、どうすれば良いのか?

それは新しい施策を小規模でスタートし、PDCAを速く回し、ダメそうなら撤退する、というある意味で当たり前のことを愚直にやっていくしかないのでは?と思います。

ちなみにここでいう小規模とは、仮に失敗してもダメージが少ない規模、という意味なので、大企業にとっては1億円でも小規模かもしれません。

日本プロ野球の最高打率は、3割8分9厘だそうです。
つまり100回打席に立って、ヒットを打てるのは約39回。残りの61回はアウトです。

こう考えると、ビジネスにおいても失敗する前提、というか失敗を許容する体制で、多くの施策を試してみる方が、現実的なのかもしれません。