売上や利益が思うように伸びず、
現場からは様々な問題が上がってくる…。
こんな状態だと
「じゃあ、何から手をつければいいの・・・」
と困りますよね。
こういった問題は、
大元をたどるとミッション、ビジョン、バリューが
整理されていないことに起因するケースが多いです。
(またその話か・・・と思った方もいるかもしれませんが、
すぐに即効性のある話に戻るので少しだけお付き合いください笑)
ミッション・ビジョン・バリューは
「何を優先するのか」「どこに向かうのか」という判断基準そのもの。
これが曖昧なままだと、部門ごと、
担当者ごとに判断がバラバラになり、結果として施策が分散します。
本来であれば売上や利益につながるはずの取り組みも、
方向が揃っていないことで力が分散し、
成果に結びつきにくくなります。
・・・とはいえ、これを伝えられても、
今苦しんでいる人としては困ってしまいますよね。
緊張性頭痛で頭が痛い、と病院にきた相手に、
我慢してストレッチで改善しなさい、
と言って頭痛薬を処方しないようなものです。
(これは私が体験した実話です)
なので今回は、
売上や利益が思うように伸びない、
場合によっては下降している、
というケースの場合、
どのような順番で改善していけば良いのかを整理していきます。
売上・利益の改善の順番
改善の順番はシンプルで、
①利益率の改善
②既存顧客のケア
③新規顧客の獲得
の順番で取り組むのが基本です。
なぜこの順番なのかというと
自分たちでコントロールしやすい要素の方が、
改善が進みやすいからです。
利益率の改善は、自社主導で進められる領域が
多いという特徴があります。
特に固定費の削減は、
契約内容や運用を整理することで改善できる余地があります。
例えば保険であれば、加入当時の前提のまま
見直されていないケースも多く、現状に合った内容に整理するだけで、
無理のない形でコストを適正化することができます。
このように、外部環境に左右されず、
自分たちの判断で着手できるという点が、利益率改善の大きな特徴です。
まず自分たちでどうにかできるところから改善するのは、改善の王道です。
外部環境に依存する施策はどうしても不確実性が高く、
成果が出るまでに時間もかかりますが、
内部の改善は自社の意思でコントロールできるため、
短期間で結果が出やすい領域です。
また、新規顧客から何かを買ってもらうのは、
既存顧客から何かを買ってもらうときの
5倍のコストがかかると言われています。
既存顧客はすでに一定の信頼関係があり、
商品やサービスへの理解もある状態ですが、
新規顧客は認知から検討、比較、意思決定といったプロセスを
一から通る必要があります。
そのため、同じ時間やリソースを投資するのであれば、
まずは既存顧客に対する取り組みを強化した方が、
成果につながりやすいのです。
ちなみにこの考え方がしっくりこない方は、おそらく
- 攻めは強いが守りが弱い
- 新しいことをやるのは好きだが地道な改善は苦手
というタイプの経営者です。
これは長所でもあり短所でもありますが、
この局面ではマイナスに作用することが多いです。
「これって私のことかも・・・」と感じる場合は、
社内で地道な改善が得意な人に任せる、
もしくはビジネスコーチをつけて強制力を働かせる
といった対応も有効です。
利益率改善の考え方
利益率の改善では、まず
「どこで利益が出ていて、どこで無駄が発生しているのか」
を見える化することが重要です。
ここで有効なのが80:20の考え方で、特に固定費削減に有効です。
実際には、全体のコストの中でも
一部の固定費が大きな割合を占めており、
その見直しだけで利益構造が大きく変わるケースは少なくありません。
例えば、ある会社では複合機、電気代、保険料といった
固定費を見直したところ、月に50万円のコスト削減につながりました。
この会社の営業利益率は15%だったため、
売上に換算すると約333万円分の売上増と
同じ効果が出たことになります。
新規で333万円の売上をつくろうとすると、
それなりの時間とコストがかかりますが、
固定費の見直しで同じインパクトが出ると考えると、
優先順位が変わってきます。
このように、まずは「インパクトの大きい固定費」を特定し、
優先的に見直していくことが、利益改善の第一歩になります。
そのうえで、商品別、顧客別、部門別、営業担当者別、
といった切り口で粗利率を測定し、
どこに改善の余地があるのかを把握していきます。
こうした数字をもとに、時間の使い方や業務の進め方、
品質の管理方法を見直していくことが、
結果として利益率の向上につながります。
既存顧客ケアの考え方
既存顧客のケアでは、
「すでに取引のある顧客との関係をどう深めていくか」
を考えることが重要です。
売上は平均案件単価と案件数の掛け算で構成されますが、
その裏側には、
- 平均取引回数
- 既存顧客数
- 既存顧客成約率
- 見積もり要求回数
といった複数の要素が連動しています。
ある会社では、顧客別の受注状況を見える化したところ、
注文の間隔が空き始めた顧客は、そのまま追加の発注が入らなくなり、
取引が止まってしまう傾向があることが分かりました。
これまでは売上全体しか見ていなかったため
気づけなかったのですが、顧客単位で分解したことで、
明確なパターンが見えてきたのです。
そこで、毎月の営業会議で顧客ごとの受注状況をチェックし、
注文頻度が落ちている顧客に対しては早めに商談を入れるようにしました。
すると商談の場で現在のニーズの変化や、
これまで表に出ていなかった不満点を把握できるようになり、
対応が後手に回る前に改善できるようになりました。
その結果、購入回数が改善し、既存顧客からの売上が
安定して積み上がるようになりました。
このように、様々な切り口で現状を分析し、
早めに手を打つ仕組みをつくることが、
既存顧客ケアのポイントです。
新規顧客獲得の考え方
新規顧客の獲得では、
「誰に、何を、どのように届けるのか」を
一貫した設計として整理することが重要です。
まずはターゲットとなる顧客像を明確にし、
その人たちにとっての価値や差別化ポイントを言語化していきます。
ある会社では、自社がもともと持っていた技術が、
他の分野でも活用できないかを検討したところ、
これまでとは異なる業種でニーズがあることに気づきました。
いわゆる横展開です。
既存の技術やノウハウを活かしながら
新しい市場にアプローチできたことで、
無理のない形で新規顧客の獲得につながりました。
このように、新規顧客獲得は単に集客を増やすという話ではなく、
「自社の強みをどの市場に届けるか」という設計の問題でもあります。
その視点で整理することで、
再現性のある形で新たな売上の柱をつくることができます。
経営自走化との関係
売上・利益を「利益率の改善」「既存顧客のケア」「新規顧客の獲得」といった構造で分けて捉えることは、経営自走化、つまり経営者が現場にはりつかなくても売上利益が上がり、主体的な社員によって会社が回る状態をつくるための基礎になります。
それぞれが異なる性質の取り組みであることを前提に分けて設計することで、役割や責任の切り分けが可能になり、特定の人に依存せずに運用できる状態がつくられます。
まとめ
ここまで見ていただくと分かる通り、
利益率の改善、既存顧客のケア、新規顧客の獲得では、
それぞれ求められる視点や取り組みが大きく異なります。
これらを一括りにして考えるのではなく、
それぞれに責任を持つ役割や機能を明確にし、
分けて管理していくことが重要です。
売上や利益が伸びないときほど、
新しいことに手を出したくなりますが、
実際には足元の構造を整えることで、
同じ時間を投下しても成果の出方は大きく変わります。
何から手をつけるべきか迷ったときは、
この順番に立ち返って考えてみてください。
