経費削減というと、
「細かいことを気にする話」
「できればやりたくないこと」
そんな印象を持っている方も多いかもしれません。
しかし実際には、
会社の利益を改善するうえで、
最も即効性があり、再現性が高いのが経費削減です。
前回は、経費削減の進め方についてお伝えしました。
具体的には、
- 営業利益率5%の会社では、30万円のコスト削減が600万円の売上と同じ効果になること
- 経費削減は「ケチること」ではなく「最適化」であること
- 同じクオリティであれば、より安くできるコストの見直し方法
- 80:20分析で、大きな費用から優先的に改善していく考え方
などについて解説しました。
「売上を上げるより、利益を残すほうが現実的に早い」
という点が、ポイントです。
まだご覧になっていない場合は、こちらからご確認ください。
今回は、その前提となる考え方です。
結論から言うと、
経費削減で最も重要なのは
予算=目標をつくること
です。
経費削減につながる指標
経費削減を機能させるためには、
指標を持つことが重要です。
例えば一例として、次のようなものがあります。
- 各費目の予算
- 様々な利益率(粗利益率、案件別利益率、部門別利益率など)
- 従業員の残業代
これらを設定し、予算と実績を比較する
いわゆる「予実管理」を行っていきます。
なぜこれが重要かというと、
数字は見ているだけでは改善されないからです。
予算という目標を持ち、
実績と比較することで初めて、
- なぜ予算と実績にギャップがあるのか
- どこに問題があるのか
- 何を改善すべきか
が見えてきます。
逆に言えば、
予算がない状態では、
「良かったのか、悪かったのか」すら判断できません。
予実管理は、
経費を“コントロールできる状態”にするための
最低限の前提になります。
なぜ分かっていてもできないのか
ここまでの話は、多くの経営者が知っています。
それでも、実際には予実管理に取り組まない、
もしくは取り組んでも継続できない経営者は少なくありません。
その理由のひとつが、
売上を伸ばすことが得意な経営者ほど、
コストや数字の管理が後回しになりやすい
という点です。
売上を上げることや、新しいことへの挑戦には積極的でも、
- 数字を細かく確認する
- コストをコントロールする
- 毎月の予実をチェックする
といった経営のディフェンス面に意識を向けるのが苦手で、
結果として優先順位が下がりやすくなります。
続けるために必要なこと
では、ディフェンスができなければ、経営者失格なのか?
そうではありません。
大切なのは、
ディフェンスを自然に続けられる状態をつくること
です。
分かりやすい方法としては、社内に、
コストや数字の管理に責任を持てる人を配置することです。
例えば、
- 経理部長
- 管理部長
といった役割を担う人材です。
こうした役割には、単に管理をするだけでなく、
全体をコントロールする視点が求められます。
そのためには、
営業やマーケティングといった売上をつくる部門に対しても、
必要な指摘や判断ができるように、
適切な権限を持たせることが欠かせません。
権限が弱いと、
売上を優先する現場の意見に押されてしまい、
コスト管理が機能しなくなることも多いからです。
ただし、
こうした人材を採用するには、それなりの人件費がかかりますし、
社内で育成する場合も、戦力になるまでには時間がかかります。
そのため、
すぐにこの体制を整えるのが難しい場合は、
別の方法を考える必要があります。
その方法のひとつが、
外部にチェックしてもらうことです。
例えば、
- コーチ
- コンサルタント
といった外部の存在に、
毎月、数字を確認してもらう環境をつくる。
そうするとどうなるか。
毎月聞かれるので、やるようになります。
これは経験則ですが、
3か月ほど続けると習慣になります。
ちなみに私自身も、
コーチに対して予実を共有しています。
「やったほうがいい」と分かっていることでも、
一人だと続かないことは多いです。
大切なのは、続けられる環境をつくることです。
経営自走化との関係
予算を設定し、予実管理によって
コストを継続的にコントロールできる状態をつくることは、
経営自走化、つまり経営者が現場にはりつかなくても
売上利益が上がり、主体的な社員によって会社が回る状態を
つくるための基礎になります。
予算という基準を持つことで、
現場は「どこまで使ってよいのか」
「どこにズレがあるのか」を
自分たちで判断できるようになります。
その結果、経営者が毎回細かく指示を出さなくても、
コストに対する意思決定が現場で行われる状態がつくられます。
まとめ
経費削減は、
一度やって終わりではなく、
続けることが重要です。
予算をつくり、
指標を持ち、
予実を確認する。
そして、それを続けられる状態にする。
ここまでできて初めて、
経費削減は「一時的な対応」ではなく、
「あなたの会社の強い文化」になります。
