売上を安定させるための「顧客との関係設計」

「もっと問い合わせを増やしたい」

経営者の方から、こうした相談を受けることがあります。

実際、売上を伸ばしたいと思ったときに、最初に思い浮かぶのは集客かもしれません。

営業代行、SNS運用、オンライン広告、SEO、交流会への参加など、世の中にはさまざまな集客手法があります。最近では、AIを活用した半自動集客といったサービスも増えてきました。

集客より先に見直したい「成約率」

ただ、新規顧客を増やすという視点で考えたとき、実は見込み顧客を集めること以上に重要なことがあります。それは、成約率を高めることです。

集客には、広告費や営業活動など、何らかのコストが発生することが少なくありません。問い合わせを増やそうと思えば、その分だけ時間やお金も必要になります。

一方で、成約率の改善は、

  • 営業スクリプトの整理
  • 提案資料の見直し
  • ヒアリング項目の改善

など、大きな費用をかけずに取り組めることもあります。

成約率を改善しないまま集客だけを強化するのは、目の粗いざるに水をためようとするようなもので、この考え方については、以前のメルマガやブログでもご紹介してきました。

しかし今回は、さらにその先の話です。

売上を安定させるためには、「一度購入してくれたお客様と、どのような関係を築いていくのか」という視点も欠かせません。そこで登場するのが、「ロイヤリティのはしご」という考え方です。

ロイヤリティのはしごとは

既存顧客から再度商品やサービスを購入してもらう方が、新規顧客を獲得するよりも低コストで済むと言われています。

「新規顧客の獲得は、既存顧客への販売の5倍のコストがかかる」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。理由はシンプルで、すでに信頼関係があるからです。

ロイヤリティのはしごとは、お客様との関係性を段階ごとに整理した考え方です。

業種によって多少の違いはありますが、概ね以下のような流れで考えます。

潜在顧客

見込み客

買い物客

顧客

会員顧客

支持者

熱狂的ファン

また、この考え方の面白いところは、「上がる」だけではなく「下がる」も管理できることです。

例えば、会員顧客だったお客様が、いつの間にか顧客に戻ってしまうことがあります。何も管理していなければ、その変化に気づくことはできません。

しかしロイヤリティのはしごで整理しておけば、

  • 利用頻度が下がった
  • 契約が更新されなかった
  • 競合へ流れた
  • 何らかの不満があった

といった変化を把握し、早めに手を打つことができます。

このように顧客を階層別に整理しておくと、会員顧客から顧客へランクダウンしたことなども把握しやすくなります。

それでは、それぞれの段階を見てみましょう。

潜在顧客

まだ自社の存在を知らない人や、課題に気づいていない人たちです。広告やSNS、紹介などを通じて知ってもらう段階です。

見込み客

問い合わせをした人、資料請求をした人、名刺交換をした人など、自社に興味を持っているものの、まだ購入には至っていない人です。

買い物客

商品やサービスを一度購入した人です。ただし、まだ「試しに買ってみた」という段階であり、十分な信頼関係ができているとは限りません。

顧客

二回以上購入してくれる人です。この段階になると、「この会社なら大丈夫そうだ」という信頼が生まれ始めています。

会員顧客

定期契約や会員制度などを利用し、継続的に購入してくれる人です。売上の安定化という意味では、とても重要な層です。

支持者

商品やサービスを気に入り、自ら紹介してくれる人です。単なるリピーターではなく、「この会社を応援したい」という気持ちを持ってくれている状態です。

熱狂的ファン

継続購入だけでなく、周囲への紹介や口コミ発信などを通じて、会社の成長を後押ししてくれる存在です。

売上が安定している会社は、新しい顧客を増やすだけではなく、こうした顧客との関係性の変化も見ています。

ロイヤリティのはしごを支える「商品のはしご」

ロイヤリティのはしごを上がってもらうためには、それに対応する商品設計が必要です。これを「商品のはしご」と呼びます。

例えばBtoBのIT企業であれば、

無料相談

簡易診断

システム導入支援

保守契約

追加機能導入

DXコンサルティング

といった流れが考えられます。

また、電気工事会社であれば、

小規模修繕

設備点検

定期保守契約

省エネ提案

大型改修工事

という流れもあります。

このとき重要になるのが、フロントエンド商品とバックエンド商品という考え方です。

フロントエンド商品とは、最初に利用してもらうための商品です。無料相談や低価格サービスなどが該当します。まずは試してもらい、信頼関係をつくることが目的です。

一方、バックエンド商品とは、本来提供したい主力商品です。利益を生み出す商品や継続契約などが該当します。

フロントエンド商品はすべての商品/サービスに必要なわけではありません。その商品/サービスが高価格、もしくは内容が分かりづらいものの場合、設計すると効果がでます。

また、

  • 定期契約
  • 保守サービス
  • 会員制度

などのリピート商品も重要です。

さらに、

  • お客様を紹介してもらう
  • 他の商品を提案する

といった導線も商品のはしごに含まれます。

経営自走化との関係

経営者しか売れない商品が一つしかない状態では、売上はどうしても経営者に依存します。

一方で、

  • 入口商品
  • 主力商品
  • 継続商品
  • 紹介導線

が整理されていると、

  • 誰に
  • 何を
  • どの順番で提案するのか

が見えやすくなります。

営業担当者も動きやすくなりますし、提案の再現性も高まります。また、既存顧客から継続的に売上が生まれるようになるため、新規集客への依存度も下がります。

経営自走化というと組織づくりの話に聞こえるかもしれません。しかし実際には、商品設計や顧客との関係設計も、その土台の一つなのです。

まとめ

集客は大切です。成約率の改善も大切です。しかし、その先には「商品設計」というテーマがあります。

新規顧客を増やすことだけではなく、一度出会ったお客様と、どのように関係を深めていくのか。

ロイヤリティのはしごと商品のはしごを整理してみると、売上を安定させるヒントが見えてくるかもしれません。