人事評価制度の評価基準はどうつくる?評価ランクと点数の決め方

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人事評価制度をつくるうえで、まず決めなければならないのが、「社員の何を評価するのか」という評価項目です。

ここ数回は、数字で表される成果だけでなく、社員の行動や仕事を進める能力、専門知識や技能など、さまざまな評価項目の設定方法について説明してきました。

まずは、これまでに取り上げた評価項目を改めて確認してみましょう。

人事評価制度の評価項目は、大きく次の4つに分けられます。

  • 定量評価
    (数字で成果を評価する「定量評価」の詳細はこちら)
  • 価値観・行動評価
    (会社の価値観に基づく行動を評価する「価値観・行動評価」の詳細はこちら)
  • ソフトスキル評価
    (仕事を進めるために必要な能力を評価する「ソフトスキル評価」の詳細はこちら)
  • 専門知識・技能評価
    (仕事に必要な知識や技能を評価する「専門知識・技能評価」の詳細はこちら)

これらの評価項目を設定したら、次に決めるのが「何ができていれば、どの評価にするのか」という評価基準です。

さらに、それぞれの評価項目を何点とするのかも決める必要があります。

今回は、それぞれの評価項目をどのような基準で評価するのか、さらに、各評価項目の点数をどのように設定するのかを説明します。

評価項目に合わせて評価基準をつくる

評価基準は、評価項目の種類に合わせて設定します。

定量評価の評価基準

売上や利益、件数などの定量評価は、目標に対する達成率で評価します。

例えば、次のように7段階の評価基準を設定します。

  • 75%未満:E
  • 75%以上85%未満:D
  • 85%以上95%未満:C
  • 95%以上105%未満:B
  • 105%以上115%未満:A
  • 115%以上125%未満:S
  • 125%以上:SS

目標達成率が95%以上105%未満であれば、標準となるB評価です。

そこから目標達成率が上がるにつれてA、S、SSとなり、下がるにつれてC、D、Eとなります。

具体例で考えてみましょう。

今回例として取り上げる会社では、等級を「レベル1、レベル2、レベル3、係長、課長、部長」の6段階に設定しています。

この会社の営業部に所属するレベル2等級のAさんの目標売上は、2,000万円です。

Aさんが2,500万円の売上を達成した場合、目標達成率は次のようになります。

2,500万円÷2,000万円×100=125%

目標達成率が125%以上なので、Aさんの評価はSSです。

一方、Aさんの売上が1,500万円だった場合、目標達成率は次のようになります。

1,500万円÷2,000万円×100=75%

目標達成率が75%以上85%未満なので、評価はDです。

このように、定量評価では、目標と実績から達成率を計算し、あらかじめ設定した基準に当てはめて評価します。

価値観・行動評価とソフトスキル評価の評価基準

価値観・行動評価とソフトスキル評価は、A・B・Cの3段階で評価します。

  • A:その項目で求められることを実践し、他の社員への教育や実践の促進も行っている
  • B:その項目で求められることを実践できている
  • C:その項目で求められることを実践できていない

各評価項目で、具体的にどのような行動や能力を求めるのかは、価値観・行動評価やソフトスキル評価を設定する段階ですでに明確にしています。

ここで決めるのは、その内容を実践できていればB、自分で実践するだけでなく、他の社員への教育や実践の促進まで行っていればA、実践できていなければCとする、という評価の段階です。

専門知識・技能評価の評価基準

専門知識・技能評価は、その社員の等級で求められている知識、資格、経験を満たしているかで評価します。

必須知識や資格は、次のように評価します。

  • A:現在の等級に加えて、上位等級で求められる必須知識や資格も身につけている
  • B:現在の等級で求められる必須知識や資格をすべて身につけている
  • C:現在の等級で求められる必須知識や資格をすべては身につけていない

経験やノウハウについても、同じ考え方で評価します。

  • A:現在の等級に加えて、上位等級で求められる経験やノウハウも身につけている
  • B:現在の等級で求められる経験やノウハウをすべて身につけている
  • C:現在の等級で求められる経験やノウハウをすべては身につけていない

現在の等級で求められる水準を満たしていればB、その水準を上回っていればA、満たしていなければCとなります。

評価のシミュレーションを行う

評価基準を作成したら、実際の社員を対象に評価のシミュレーションを行います。

このときは、1人の社員についてすべての評価項目を順番に評価するのではなく、1つの評価項目について、評価対象となる社員全員を評価します。

1つの評価項目について全員の評価が終わったら、次の評価項目へ進みます。

この方法で一通り評価し、作成した評価基準を使って実際に評価できるかを確認します。

評価項目の点数の重みを設定する

評価基準を作成したら、次に、各評価項目の点数を設定します。

すべての評価項目を同じ点数にするのではなく、会社がその部門や等級に何を求めるのかによって、点数の重みを変えます。

まず、次の4つのカテゴリについて、それぞれ何点を配分するのかを決めます。

  • 定量評価
  • 価値観・行動評価
  • ソフトスキル評価
  • 専門知識・技能評価

4つのカテゴリの点数を合計すると、100点になるように設定します。

部門によって点数の重みを変える

営業部門は、売上や利益などの成果を数字で把握しやすいため、製造部門や管理部門よりも定量評価の配点を高くします。

製造部門と管理部門では、定量評価よりもソフトスキルの配点を高くします。また、営業部門と比較して、専門知識・技能の配点も高くします。

価値観・行動評価については、部門や等級にかかわらず、同じ点数を設定します。

このように、それぞれの部門の仕事の特性に合わせて、4つのカテゴリに対する点数の重みを決めます。

等級によって点数の重みを変える

同じ部門の中でも、等級によって求められる役割は異なります。そのため、等級によっても点数の重みを変えます。

レベル1やレベル2では、まず担当業務に必要な専門知識や技能を身につけ、自分に設定された目標を達成することが求められます。そのため、専門知識・技能と個人目標の配点を高くします。

等級が上がるにつれて、自分の仕事だけでなく、部門や会社全体の成果に対する責任が大きくなります。そのため、個人目標の配点を下げ、部門目標や全社目標の配点を高くしていきます。

  • レベル1・レベル2:個人目標の配点を高くする
  • レベル3:個人目標に加えて、部門目標の配点を高める
  • 係長・課長:個人目標の配点を下げ、部門目標と全社目標の配点を高める
  • 部長:個人目標ではなく、全社目標と管轄する部門の目標を評価対象とし、全社目標の配点を最も高くする

つまり、等級が低い社員ほど個人目標の重みを高くし、等級が上がるほど全社目標の重みを高くします。

役職が上がるにつれて、評価する成果の範囲を、個人から部門、部門から会社全体へと広げていくという考え方です。

カテゴリの点数を個別の評価項目に分ける

4つのカテゴリの点数を決めたら、次に、その点数をカテゴリ内の個別の評価項目へ振り分けます。

例えば、ある等級の定量評価を30点とした場合、その30点を次のように分けます。

  • 全社目標:5点
  • 部門目標:10点
  • 個人目標:15点

全社目標、部門目標、個人目標の点数を合計すると、定量評価に設定した30点になります。

等級が上がれば、この配点も変わります。個人目標の点数を下げ、部門目標や全社目標の点数を上げていきます。

価値観・行動評価、ソフトスキル評価、専門知識・技能評価についても、同じように、各カテゴリに設定した点数を個別の評価項目へ振り分けます。

また、会社がその年に何を重視するかによって、評価項目の追加や削除、点数の変更を行うこともできます。

さてここまで読んで、大変そうだと感じた方もいるかもしれません。

しかし、人が行うのは、社員の仕事ぶりを確認し、評価するところまでです。

評価結果の点数への換算は、Excelに計算式を設定しておけば自動化できます。

Excelの関数を組むのが難しい場合は、AIを使って計算式を作成することもできます。

ただし、AIを使う場合は、こちらの指示を正しく理解しているか、計算結果に間違いがないかを何度も確認する必要があります。

また自社に合った評価基準や配点の設定方法が分からない、Excelの評価票まで自社でつくるのは難しいという方は、お問い合わせフォームからご連絡ください。

現在の人事評価制度や組織体制を確認したうえで、進め方を一緒に整理します。

人事評価制度と経営自走化の関係

評価基準が決まっていなければ、同じ成果や行動であっても、評価する人によって結果が変わってしまいます。

管理職だけでは判断できず、最終的に社長が一人ひとりの評価を確認し、決定しなければならない状態にもなりかねません。

評価基準を明確にすれば、管理職は共通の基準に沿って部下を評価できるようになります。

社員にとっても、現在の等級で何が求められているのか、どのような状態になれば評価が上がるのか、次の等級へ進むために何を身につける必要があるのかが分かりやすくなります。

また、等級が上がるにつれて、個人目標から部門目標、全社目標へと評価の重みを移すことで、社員が自分の仕事だけでなく、より広い範囲の成果に責任を持つようになります。

一般社員は自分の目標達成に責任を持つ。係長や課長は部門の目標達成に責任を持つ。部長は会社全体の目標を意識しながら、管轄する部門を動かす。

このように、それぞれの社員が自分の等級に応じた範囲で目標達成に責任を持ち、管理職が共通の基準で評価と育成を進められる状態をつくることが、経営者が細かく口を出さなくても会社が回る「経営自走化」につながります。

まとめ

今回は、人事評価制度の評価基準と、評価項目の点数の設定方法について説明しました。

評価基準は、評価項目の種類に合わせて設定します。

定量評価は、目標に対する達成率をもとに評価します。

価値観・行動評価とソフトスキル評価は、その項目で求められることを実践できているか、さらに他の社員への教育や実践の促進まで行っているかで評価します。

専門知識・技能評価は、現在の等級で求められる知識、資格、経験を身につけているかで評価します。

点数については、部門や等級に求める役割に合わせて重みを変えます。

特に、等級が低い社員ほど個人目標の重みを高くし、等級が上がるほど部門目標や全社目標の重みを高くすることがポイントです。

評価基準と点数の重みを明確にすることで、会社が社員に何を求めているのかが伝わり、管理職も共通の基準で評価と育成を進められるようになります。