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新しく管理職になったとき、戸惑う仕事の一つが、部下との評価面談です。
私も新任管理職の頃、評価面談をどう進めればよいのか迷いました。
評価結果を伝えることは分かっていても、何から話し始めればよいのか、本人の意見はいつ聞くのか、最後に何を決めればよいのか、当日の流れが見えていませんでした。
前回の記事では、評価担当者へのトレーニングの重要性について説明しました。
そのトレーニングでも意外と抜け落ちるのが、評価面談のアジェンダです。
どの評価シートを使い、いつ本人へ送るのかは決めていても、当日、どの順番で何を話すかまでは決めていない。これでは、評価担当者によって面談の内容が大きく変わってしまいます。
今回は、評価面談までに準備することと、当日の推奨アジェンダについて説明します。
評価面談の前に、評価結果を整理しておく
面談の2週間前を目安に、評価対象者本人と評価担当者へ評価シートを送ります。
本人には自己評価を、評価担当者には対象者の評価を行ってもらいます。
評価担当者を2人以上にする場合もあります。例えば、直属の上司である係長と、その上の部長がそれぞれ評価するケースです。
その際は、一方の評価がもう一方に影響しないよう、最初はそれぞれ独立して評価します。
その後、評価結果を集計し、全体をレビューします。
評価担当者によって点数が著しく異なる項目があれば、なぜ判断が分かれたのかを確認します。
評価基準の解釈が異なるのであれば、評価方針をすり合わせたうえで、最終的な評価結果を確定させます。
昇格の対象となる人については、昇格の判定も行います。昇格する場合は、昇格後の新しい等級でも改めて評価します。
こうした確認を済ませてから面談に臨むことで、上司は評価の理由を具体的に説明できます。
本人から質問を受けたときにも、判断の根拠を示しながら話せるようになります。
評価面談の推奨アジェンダ
評価面談では、評価結果を伝えるだけでなく、本人と上司が仕事を振り返り、改善すべき課題と次期の目標を明確にします。
基本的には、評価対象者本人と直属の上司で面談しますが、必要に応じて、人事担当者や、さらに上位の上司が参加することもあります。
当日は、次の順番で進めると話しやすくなります。
1.雑談から入り、面談のアジェンダを伝える
最初から評価の点数について話すのではなく、まずは雑談から入ります。
ただ、「雑談をしましょう」と言われても、何を話せばよいか困る人もいるでしょう。
その場合は、最近あった良かったことや新しく知ったことを話す「Good & New」など、自分が進めやすい形をあらかじめ用意しておくとよいと思います。
その後、今回の面談のアジェンダを最初に説明します。
評価結果を確認し、本人の課題や次期の目標について話し、最後に今後の行動を決める。何をどの順番で話すのかを共有してから、本題に入ります。
2.本人の自己評価から聞く
評価結果の確認では、まず本人の自己評価を聞きます。
良い評価をつけた項目を1~3項目取り上げ、なぜそう評価したのかを聞きます。
次に、本人が良くない評価をつけた項目も1~3項目取り上げ、その理由を聞きます。
先に本人の考えを聞くのは、上司の評価を伝える前に、本人が自分の仕事をどのように振り返っているかを知るためです。
同じ結果を見ていても、本人と上司とでは、重視している出来事が異なるかもしれません。
3.上司の評価と、その理由を伝える
本人の話を聞いた後で、上司からの評価を伝えます。
まず、良い評価をつけた項目を1~3項目取り上げ、具体的にどのような行動や成果を評価したのか説明します。
続いて、良くない評価をつけた項目についても1~3項目取り上げ、その理由を説明します。
点数だけを伝えても、本人には「今後も続けてほしいこと」や「改善してほしいこと」が伝わりません。
できるだけ具体的な出来事やデータを使い、なぜその評価になったのかが分かるように話します。
本人と上司の評価が異なる場合も、すぐにどちらが正しいかという議論にするのではなく、それぞれが何を根拠に判断したのかを確認します。
4.現在の仕事と、改善すべき課題を整理する
評価結果を確認したら、今後の課題について話します。
まだできていないことや改善すべきことは何か、現在担当している仕事は本人にとって適切か、仕事を進めるうえでどのような課題があるか。本人の意見も聞きながら整理します。
ここでは、すべてを本人の問題として決めつけないことが大切です。
話を聞くことで、上司が把握していなかった仕事上の障害や、本人が必要としている支援が見えてくることもあります。
5.次期の方針と、本人が目指したいことを話す
次に、会社や部門の次期の方針を説明し、上司として本人に期待していることを伝えます。その方針や期待について、本人がどう考えるかも聞きます。
新任管理職にとって、会社や部門の方針を自分の言葉で説明するのは難しいかもしれません。
面談の前に上長へ確認し、本人に何を伝えるべきか整理しておきましょう。
あわせて、本人の3年程度の長期目標と、来期の短期目標を確認します。
挑戦してみたい仕事はあるか、次にどの等級や給与を目指したいかも話し合います。
会社や上司の期待を一方的に伝えるだけでは、本人が納得して取り組める目標にはなりにくいでしょう。
本人が目指したいことも聞いたうえで、会社や上司からの期待と、どのように結びつけるかを考えます。
そのうえで、目指す等級や給与に向けて必要な個人の目標、仕事の目標を3~6個程度設定します。
6.必要な支援と、仕事への提案を聞く
目標を決める際には、本人に努力を求めるだけで終わらせません。
目標の達成に向けて、会社や上司にどのようなサポートをしてほしいかを聞きます。
また、仕事の進め方を良くするための改善案や、チームのモチベーションを高めるための提案があれば、それも聞きます。
上司が話すだけでなく、本人が意見を伝える時間もアジェンダに入れておきます。
7.次の行動と日程を決めて、面談を終える
最後に、面談で話した目標を踏まえて、本人が次に取り組む行動を決めます。
目標だけを決めて終わると、日々の業務に追われ、面談で話したことが後回しになりがちです。
決めた目標と行動は、チャレンジ・シートなどと呼ばれる目標設定用のシートにまとめます。
面談中にすべてを書き終える必要がなければ、シートの提出日を決めておきましょう。あわせて、次回の面談日も決めます。
面談を終える前には、本人に最後に伝えておきたいことがないかも確認します。
チャレンジ・シートで目標と行動を振り返る
チャレンジ・シートは、評価面談で話し合った目標と、その達成に向けた行動を記録するシートです。
本人の長所や改善点、今後の目標、取り組む行動などを整理します。
目的は、面談で決めたことを記録して終わりにせず、その後の行動と振り返りにつなげることです。
次の人事評価が1年後だとしても、フィードバックまで1年空ける必要はありません。
少なくとも四半期に1回、できれば毎月30分程度でも、チャレンジ・シートを見ながら進捗を確認する機会を設けましょう。
「毎月は多い」と感じるかもしれません。
しかし、短い時間でもこまめに話すほうが、上司は日々の仕事で見たことを忘れないうちに伝えられます。本人にとっても、次の人事評価まで待たずに改善へ取り組めるため、成長の機会が増えます。
評価面談と経営自走化の関係
社長が一人ひとりの仕事を確認し、次に何をすべきか指示し続ける状態では、社員に仕事を任せられる範囲は広がりません。
評価面談では、会社や部門の方針を踏まえて、本人に期待する役割と目標をすり合わせます。
その後も定期的に進捗を振り返り、本人が課題に気づき、次の行動を考える機会を設けます。
こうして社員が自分の役割を理解し、成果に向けて行動を改善できるようになることが、社長に判断や指示が集中しない組織づくりにつながります。
人事評価制度は、始めてからも改善を続ける
ここ数回にわたって、人事評価制度をつくり、運用するための準備について説明してきました。
人事評価制度は、一度つくったら完成するものではありません。実際に評価と面談を行い、うまくいかなかった点を確認しながら、毎年改善していくものです。
最初から完璧な制度にしようと構えすぎず、必要な準備ができたら、まずは運用を始めてみることをお勧めします。
導入時には、評価結果を給与制度と切り離すことで、始めやすくする方法もあります。
まずは評価制度をつくり、評価と面談を実施するという一連のプロセスを実行し、そこで見えてきた課題を、次の運用に反映していきましょう。
