皆さまの会社の日々の業務の中で、
次のようなことが起きていないでしょうか。
- 営業担当者が、顧客への請求書の送付を忘れてしまった…
- 会計担当者が、顧客への支払いの催促を失念していた…
- カスタマーケア担当者が、顧客に情報の送付を忘れていた…
また、人に関するこんな問題も起きているかもしれません。
- 新入社員が、自分のやるべき作業の全体像が分からない…
- 新入社員研修制度がなく、問題が起きたときだけ指導している…
- 退職者が引き継ぎ不足で辞めてしまい、後から連絡するはめになる…
これらの問題の多くは、
個人の能力や意識の問題ではありません。
「誰が・いつ・どんな仕事をしているのか」を、
部署や会社として把握できていないことが原因で起きています。
仕事が属人化し、全体像が見えなくなることで、
「忘れる」「育たない」「引き継げない」
といった問題が継続して発生します。
こうした問題をまとめて解決できる考え方が、
ルーティンワーク表です。

ルーティンワーク表とは何か
ルーティンワーク表とは、
繰り返し発生する仕事(ルーティンワーク)を
見える化し、管理するための一覧表です。
- どの部署(もしくは人)が
- いつ
- どのような仕事をするのか
これらを、仕事が発生する周期ごとに整理していきます。
またルーティンワーク表は、
これから紹介する5つに分かれます。
以下の例は、総務部をイメージしています。
日間・時間帯別ルーティンワーク表
1日の中で、実行する時間が決まっている仕事を整理する表です。
たとえば、
- 毎朝決まった時間に行う確認作業
- 時間帯が決まっている対応業務
などが該当します。
例)
9:00〜9:30:勤怠打刻の未打刻チェック
11:00〜12:00:来客・電話対応(当番制の場合)
一方で、時間は決まっていないものの、
毎日必ず発生する仕事もあります。
そうした仕事は、時間帯の枠には入れず、
「その他」の欄に記載します。
例)
備品の補充、社内からの問い合わせ対応
週間・曜日別ルーティンワーク表
1週間の中で、実行する曜日が決まっている仕事を整理する表です。
例)
火曜日:社内備品在庫チェック
金曜日:作業場・オフィスの5S点検
曜日が固定されていないが、
毎週発生する仕事は、特定の曜日には割り当てません。
その場合は、「その他」の欄に記載します。
なお、毎日発生する仕事は週間表には入れず、
日間・時間帯別ルーティンワーク表に整理します。
月間・日別ルーティンワーク表
1か月の中で、特定の日付に発生する仕事を整理する表です。
例)
1日:勤怠締め案内の社内周知
20日:社会保険・雇用保険関連の確認
毎月発生するが、日付を固定できない仕事は、
「その他」の欄に記載します。
月間・週別ルーティンワーク表
1か月の中で、第◯週といった形で発生する仕事を整理する表です。
例)
第2週:備品・消耗品の発注
第3週:社内規程・掲示物の見直し
毎月発生するが、週を固定できない仕事は、
「その他」の欄に記載します。
年間・月別ルーティンワーク表
1年の中で、特定の月に発生する仕事を整理する表です。
例)
4月:入社式・新入社員受け入れ対応
10月:年末調整準備
「その他」欄の仕事
ここまでで何度か出てきた「その他」の欄は、
整理を諦めた仕事を置く場所ではありません。
現時点では明確に、
実施タイミングを固定できていない仕事。
あるいは例外対応が多く、
まだ型が定まっていない仕事。
こうした仕事を一時的に置くための領域です。
ルーティンワーク表を運用していくと、
実は毎週同じ曜日にやっている。
本当は毎月決まった日に対応している。
といったことが見えてきます。
実施タイミングが見えてきた仕事は、
具体的な時間、週、日、月に落とし込んでいきましょう。
この見直しの積み重ねが、
業務の標準化や効率化につながります。
ルーティンワーク表を作るメリット
ルーティンワーク表を作ることで、
スタッフ、管理者、経営者それぞれにメリットがあります。
スタッフ(実務担当者)のメリット
- 今日は何をやればいいのかを考えなくてよくなる
- 仕事の抜け漏れが減り、不安が少なくなる
- 自分の役割と責任範囲が明確になる
結果として、仕事を覚えるスピードが上がり、
ミスが減ります。
管理者(部署長・リーダー)のメリット
- 部署全体の仕事量や偏りを把握できる
- マニュアル化すべき業務の優先順位が分かる
- 引き継ぎや担当変更がしやすくなる
誰が忙しいかではなく、
どの仕事が重いのか、という視点で判断できるようになります。
経営者のメリット
- 属人化している業務を把握できる
- 重要だが後回しにされがちな仕事を管理できる
- 会社としての再現性、持続性が高まる
結果として、会社が特定の人に
依存しすぎない状態に近づきます。
ルーティンワーク表の作り方
ルーティンワーク表は、以下の手順で作成します。
① 仕事をすべて書き出す
直近1か月に行った仕事を、
手帳、メール、カレンダー、チャットツールなどから洗い出します。
② 周期を整理する
それぞれの仕事が、日・週・月・年の
どの周期に該当するかを整理します。
③ 周期ごとに表に落とす
5つのルーティンワーク表に仕事を配置します。
具体的な時間や日付が決まっていないものは、
「その他」欄でまとめて管理します。
ルーティンワーク表の運用ポイント
現場スタッフに取り組んでもらうためのポイント
まずは、Googleカレンダーなどに
繰り返しスケジュールとして登録してもらいます。
正しい周期で登録することで、
覚えておく仕事から、表示される仕事へと変わります。
次に、完了したことが分かる仕組みを取り入れます。
終わったら完了させる、という行為を
習慣にすることで、やった・やっていないが明確になります。
さらに進めるなら、
自分のルーティンワークが何%完了したのかを
視覚的に確認できるようにします。
進捗が数字で見えることで、
仕事に対する達成感が生まれます。
このように行動を継続しやすくする仕組みを、
Gamification(ゲーム化)と呼びます。
仕事が、怒られないためにやるものから、
達成したくなるものへと変わっていきます。
管理者・経営者のためのポイント
定期的に、
削減できる仕事はないか。
担当や部署を変えた方がいい仕事はないか。
部署間の仕事の段取りは合理的か。
を見直すレビューを行います。
また管理者は定例会で、
ルーティンワーク表どおりに動けているかを確認しましょう。
最初は嫌がられるかもしれませんが、
会社の効率性や生産性を継続的に改善するために
重要なポイントであることを理解してもらいましょう。
ルーティンワーク表の推進は経営層の仕事
今回の例は、総務部をイメージして作成しました。
そのため特に営業やマーケティングに
「うちの部署にはルーティンがない」
と言われるのでは……と気になるかもしれません。
しかし、私の知る限り、
ルーティンが存在しない部署は存在しません。
一見ルーティンが少なそうに見える部署でも、
実際には会議準備やデータ作成など、
繰り返し発生している仕事があります。
もしルーティンが見えないとすれば、
それは行き当たりばったりで
仕事をしているだけかもしれません。
ルーティンワーク表は、
最初に作るときは時間がかかります。
しかし、その後の業務を確実に、
そして大幅に楽にします。
こうした、緊急ではないが重要な仕事こそ、
経営者や経営幹部が取り組むべき仕事なのです。
